もうすぐ組み分けテストで、我が子も通常授業に加えて社会と理科の知識に分野については地理や理科の最近やっていない分野の見直しを入れて取り組んでいるところです。
前回の記事で暗記ものの話を書きましたが、特に組み分けやサピックスオープン、実際の入試問題については、単なる知識の暗記だけではなくて頭の中に知識や解法が整理されて入っている事、聞き方が変わった場合に置いても自分の頭の引き出しの中で適切な組み合わせを行い解答にたどり着く事が大切です。
特にこうした問題においては、メタ認識能力が大切だと思うのでその点について
自分のこれまでの経験から、勉強においては知識だけではなく、その分野における科目の考え方や基本的な思考様式を身につけることが重要だと思っています。算数には算数、国語には国語、その科目毎の勉強の思考様式や重要となるポイントが違っており、社会や理科で更に、地理、歴史、公民、時事と重要な思考様式が違い、理科では物理、化学、生物、地学もっと言えば更に細かく16分野位の単元で考え方やアプローチの仕方が違うと思っています。
こうしたそれぞれの科目の特徴やアプローチの仕方に気がついてそれに沿った勉強方法を工夫していく事が大切です。加えて大切だと思うのは、新たな知識や考え方をインプットした後で問題演習をする訳ですが、そこで「何がポイントで、何が分かっていれば解けるのか、幹となる考え方、知識は何で、枝葉で各論なのは何か」ということを見抜く認識能力が極めて大切です。これがいわゆる「地頭」と呼ばれるものではと思います。
例えば、算数で時計算をはじめて習った場合に、いくつかの典型的な問題の考え方について学びその解法を問題演習でトレーニングします。時計算なら、短針と長針が1分間でどれだけ動くのか、起算点の所から一定時間経過後にどこまで動くのかがポイントになり、それをベースに考えていく事になります。数字を変えたり角度を変えたりいろいろなパターンで問題演習をすると、基本的ないわゆる典型問題については解けるようになります。
では、時計が24時間表示になったとか、13時間の世界とか、秒針が入る場合や、ある時間止まるとか、長針と短針が反対向きに動く、などのバリエーションを加えたときにそれを初見で解けるか?というのはどうでしょうか。
この際に、類題でやった事がないからできない、というのが通常の反応かと思いますが、このメタ認識能力に長けている子供は、時計算を習うときに、「要は、ぐるぐる回る360度の中を動く針が何種類かあり、それが単位時間でどれだけ動くか、それをある条件で確認する旅人算の応用問題ね」というような捉え方をするのだと思います。
そういう認識をすれば、24時間表示になった場合において1時間で短針が30度ではなく15度、逆に動く場合の条件の立て方、止まる場合の扱いなどについても、360度回る針があり、それがそれぞれどう動いており、条件をどう表現するか、時計算の本質的なポイントであることを認識していれば、戸惑う事はありこそすれ正しくアプローチする事が出来ると思います。
通常、問題を解く際には、どうしても慣れのために「あてはめ」に終始してしまいがちですが、一歩引いて「何を押さえていればこのジャンルの問題は分かったと言えるのか?」ということを自分で了解する、というのがこの認識能力の長けている子供だと思います。
これは量をこなしたから出来るものではなく、ある意味できる人は最初からできるし、そうした視点のない人はいつまでたっても出来ないと思います。ただ、通常はある程度の問題演習量をこなすとだんだん分かってくる事があります。いわゆる「地頭」がいいというのは、こうした本質的なポイントに気づくところが問題演習量が少なくても出来る人の事だと思っています。
とはいえ、我が子には無理とあきらめてしまう必要はありません。5年でカリキュラムが一巡し、復習セッションとなりますが、こうした授業の問題演習の中で、「何を押さえておきさえすればこれらのジャンルの問題は解けることになるのか」という若干引いた視線で授業や解く問題を捉え直していけばいいと思います。闇雲に演習をすれば解けるようにはなりますが、いわゆる応用というのはこのキーとなるポイントを押させた上でその組み合わせをどう見抜くか、という事だと思います。いったん止まって引いた視線で物事を捉え直すという再整理がとても重要だと思います。
そうした意味で6年前半は復習で「基礎固め」と保護者会でも言っていましたが、この「基礎」というのは典型問題を解けるようになるだけの事を意味するのではなく、まず一旦5年で学習して理解している事を再度、重要な事、本質的な部分と、個別特有の事に仕分けして、この分野で何を押さえていれば「分かっている」と言えるのか、また知識であれば、ある単元や分野の特有の思考様式の中に再整理してどう位置づけするのか、ということを捉え直し、頭の中に作り上げるプロセス期間だと思います。
通常は問題演習をしながらそうした体系が無意識下で出来てくる要素もあるのですが、不得意な分野についてはその分野毎の基本問題をやりながら、このミニマムエッセンスは何で、これを使うと他の問題も確かに解ける、ということを確認していく事が必要だと思います。むしろ、演習を減らしてでも、ポイントとその組み合わせ方で解ける事を強く認識した方がよく、こうした考え方なしに闇雲に問題量を増やす事はかえって頭を混乱させてしまい、穴の空いたバケツのように次々と新しい事を詰め込んでは忘却していくという事になりかねません。
従って、今の段階では、5年で習った事を授業や問題演習で頭の中に再整理して引き出しを作り取り出しやすくアーカイブ化していくということが一番重要ではないかと思います。
その上で、組み分けやサピックスオープンでは、目先の違う知識や考え方の引き出し方について、そうしたアプローチが正しく出来ているか、というのを確認するという場なのかと思っています。
ただし、サピックスのテストの場合悩ましいのは、このいわゆる思考力に加えて正確な知識を要求するので、そのどちらが欠けているのかが判定しづらい点にあります。
他方、授業や小テストではそうした再整理、体系化、何がポイントかということが整理できるかと思いますので、問題そのもののではなく、「何を押さえれば分かったと言えるのか」という知識と学問体系の体系的な圧縮整理をどう進めていくかこれからの課題かと思います。
一朝一夕で出来るものではありませんが、志望校のタイプを踏まえつつ、そうした要素も鍛えていく必要があるなと思っています。ここまで強く認識してやるものではないですが、一旦こうした見方が出来ると中学以降の学習においてもまた社会人となっても役立つ重要な視点だと思っています。
子供には、家で復習する際に問題を解く際にこうした視点を把握しているかを出来る限り問うようにしていますが、テストでの結果が出ていないので、本人はまだまだのようです。