算数の本の紹介です。
受験算数の教科書的な物としては、四谷大塚の「予習シリーズ」が有名です。中学受験の基礎固めとしては小5の上下巻と小6の上巻でだいたい網羅されているようです。
この四谷大塚のシリーズは、先般小5の上巻を入手して眺めてみました。確かに押さえるべきところをカチッと押さえていてSapixの算数で解き方が分からないところを確認したり、予習用のテキストとして使うには良いように思います。
ただ、個人的な主観としては面白みがない感じがします。もちろん、教科書的に使うぶんにはこれでもいいのですが、
算数が好きな(算数小僧)子供に知的好奇心をあおる等のいろんなテクニックもちりばめられていて読み物としてもそこそこ面白いというところがありません。
そこでこの東京出版の「秘伝の算数」になります。東京出版は、「大学への数学」で有名ですが、中学受験では「中学への算数」が有名です。この月刊誌は取り扱い注意というところもあり、算数が好きな算数小僧が使う教材としては知的好奇心をくすぐり面白いのですが、中学受験は4教科の総合点であることと、算数の解法が美しく、センスを要求するような解き方であって、算数が余り得意でない人にとっては使いこなせない解法ということもあり、また、算数が好きな子供がはまるということもあり、評価としては是々非々なところがあります。中でも「日々の演習」が有名ですが、この問題のチョイスが東京出版のテイストが出ている構成と解説ぶりになっています。
この「秘伝の算数」もある意味そうした流れを組んでおり、内容としては先の「予習シリーズ」と同等の範囲をカバーしているのですが、読み物形式になっている点、所々に算数好きにはたまらないテクニックがコラム等でちりばめられています。他方、文体はややおちゃらけた面もあり、文体はあわない人はあわないと思います。
ただ、そこで使われている解法や考え方は解説も分かりやすく応用が利くと思います。応用編と発展編を持っています。入門編は小4向けです。範囲的にはちょうど応用編が今のSapixの範囲で、秋は発展編の範囲に入っていきます。
応用編の目次はこんな感じです。
第1部 数の世界
1 小数の計算
2 数を分解してみよう
3 分数のかけ算・割り算
4 約数と公約数
5 素因数分解って何だろう?
6 整数と周期性
7 素因数分解の応用
8 場合の数の「公式」
9 「場合わけ」の技法
第2部 図形の世界
1 多角形と角度
2 直線図形の面積
3 タイルで遊ぼう(平面図形のパズル)
4 円周率のおハナシ
5 いろいろな図形の面積を求める
6 円柱と円すい
7 サイコロで遊ぼう
8 「水」に関する諸問題
第3部 文章題のとき方
1 平均と面積図
2 表や図を使って解く
3 差を集めて解く~応用篇
4 後ろからさかのぼって解く
5 基準をそろえてとく
6 歩合と百分率
7 モノに値段をつけてみよう!
8 売買の応用問題
9 濃度に関する問題
10 「速さ」に関する問題
11 情景図をかいて解く
12 進行グラフを使って解く
13 速さのいろいろな文章題
発展編です。
第1部 数の世界
1 「割合」から「比」へ
2 正比例と反比例
3 場合の数を極める
4 「整数解」を求める問題
5 規則性を極める
6 数の性質を極める
第2部 図形の世界
1 底辺の比と面積の比
2 三角形の相似
3 直角三角形の相似
4 点が移動する問題
5 点の反射と移動範囲
6 図形の平行移動
7 図形の回転移動
8 立体図形と比~回転体と「影」の問題
9 立体図形の切断
第3部 文章題のとき方
1 相当算を比で解く
2 速さを比で解く
3 速さと比の応用問題
4 面積図から比へ
5 仕事算とニュートン算
6 文章題を式で解く
7 比が変化する問題
ついでに入門編
第1部 数の世界
1 整数の成り立ち
2 分数の成り立ち
3 小数の成り立ち
4 計算のきまり
5 時間と単位の計算
6 倍数と公倍数
7 分数の約分と通分
8 小数と分数の関係
9 規則をみつけてとく
10 規則を利用する
11 暗算と検算のススメ
12 ともなって変わる量
第2部 図形の世界
1 正方形と長方形
2 立方体と直方体
3 図形に名前をつけよう!
4 図形の性質と角度
5 いろいろな平面図形
6 立体を平面でとらえる
第3部 文章題のとき方
1 線分図を使って解く
2 割合分数と線分図
3 数直線を使って解く
4 式を使って解く
5 表や図にまとめて解く
6 差を集めて解く
7 条件を整理して解く
8 数え上げの秘術
この本に関しては合う、合わないがあるかと思うので本屋で見てみて子供が好きそうなら良いかと思います。独特の口調、舞台設定なので算数の内容以前に文体で駄目な人はいると思います。
我が子は割と好きなようで、長い休みのときにまとめて一定の範囲を読ませています。
いろいろな目から鱗な情報もあるのでひとしきり基礎が身に付いたところの復習にもつかえるかと思います。