こないだからの続きです。
理科について
5月以降のSapixの勉強の仕方についてこれまで通りでいいかについて検証しているですが、勉強のウエイトとしては、算数に重心をおきつつ、次に国語が大事です。ここで7割くらいの時間をかけるということですが、どんな感じで勉強していくかについては前々回のエントリーで書いた通りです。我が家の場合は、算数は問題演習の関係上、時間を取っていますが、国語はやや軽めで理科社会は同じくらいのウエイトになっている気がします。
理科と社会については、カリキュラムがちゃんと理解できる、マンスリーで80点というレベルまでであれば、サピのテキストの復習をちゃんとすればいいという結論になりました。ただ、理科の場合、社会と違い暗記の前に体系的な理解が重要です。
1.理科の特性について
理科については、社会と異なり、体系的な理解を深める事が必要であり、その体系が頭の中で出来ていれば覚える事を少なくする事が出来ます。
分野は、生物、地学、物理、化学と分かれます。入試的には融合問題も作れなくはないのですが、やはり相当毛色が違うのせいか、大抵の場合大問4問くらいに分かれて出題される事が多いと思います。この4分野は同じ理科でありながらもアプローチの仕方、ウエイトのおき方が違っています。
(1)生物
動物(昆虫含む)、植物、人体と大きく分ける事が出来るかと思います。それぞれ基本的な事項を押さえたら後は細かな分類学になります。特に中学受験の理科においては、この生物分野については動物、昆虫、植物については細かな点を押さえた上での出題がなされており、正確な整理に基づいた暗記が必須となります。
これは他の化学、物理が小学校の範囲ではやれることに限界があり、かといって地学を難しくするのは限度があるため、生物分野で学習到達度を問う、という事になったのだと思われます。
動物にしても植物にしても基本事項や重要事項はシンプルなのですが、分類上どのような動物、植物がそれに属するのか、ということを覚えるのは結構細かくて大変です。
逆に、まだ出てきていませんが人体の方が、話はすっきりとして機能毎に学習していけばいいので分かりやすいのではないでしょうか。自分も子供のときに「人体の秘密」というタイトルの漫画を読んでそれでほとんど困らなかった記憶があります。
(2)地学
天体、気象、地層、岩石、地球の話などになりますが、身近な話で興味が持てると思います。基礎知識を正確に理解していれば、後はロジックで対応できますが、天体、太陽、月は方角や移動方向で惑わされやすいです。また、入試問題としては、ロケットや人工衛星などの旬な話題に絡めて基礎知識を問う問題が作り分野です。地震や海流などについても同じように旬のネタを使って考えさせる問題が作りやすいです。
ただ、これらは基本的な知識と理解ができたら、そうした応用問題を解いてそうした知識や考え方をどのように適用するのか、という事に慣れていく必要があります。知らない事をいくらでも出題できるので全てのパターンを尽くすのは無理だと思います。実際の入試問題はこうした一見見た事のない内容が多いと思うので、こうしたものに対する地学的な考え方のフレームワークを適用できるか、が課題となりますが、その実践力は6年生で養う事になります。
(3)物理
現時点ではそんなに複雑なものは出てきていません。磁石、電気、光、てこ、運動、滑車などがありますが、いわゆる物理的な力学などは5年後半に出てきます。現時点では電磁石、電気のところが見えない物を扱うのですが、そんなには難しくありません。難しい問題はとてつもなく難しく作れるのですが、小学生の範囲で出来る問題は限られる事からするとある程度基本的な事項とその応用パターンを身につければ何とかなるのではないかと思います。
運動、滑車、てこのあたりが中学受験範囲では難しい問題がたくさん出てくるところですが、これも基本のやり方をきっちりマスターしてだんだん複雑なものに慣れていけば対処できると思います。地学や生物のように見た事のない題材や設定を考える事は少ないと思います。
(4)化学
基本となる化学反応は中学受験の場合は限られているので、その基本を押さえて量的な関係の考え方が分かると、後は違う物質でそれが適用できるか、あたりがポイントでしょうか。中和、溶解度の計算で特に溶解度の問題は計算としては面倒ですが、これも算数の濃度計算と同じくやり方が決まっているので、正しいやり方をマスターしたら終わりだと思います。ここも個人的には化学式を知らないで考えるには無理があると思っており、結構不自然な暗記が必要になる分野ではないかと思います。
2.勉強の仕方
主に各単元で毎回ちゃんと理解できて、マンスリーで80%位の点数が取れる事を前提にした場合の勉強を考えます。満点を取るのは図鑑好きとか、理科好きでないとなかなか難しいかと思いますが、80%までならテキストをちゃんと復習すれば5年生のテキストでも行けると思います。
(1)概念の理解
新しい事象がどういう事なのかを理解する。これを理解して正しいイメージを持つ事が大切です。授業でそうしたインプットはやると思いますが、分からない場合は、理科の教育番組(NHK)やドラえもんの理科の漫画、中学受験の理科の漫画などがイメージを持つには役立つと思います。分かってしまえば「なんだ、そんな簡単な事か」というのもあるのでしょうが、腑に落ちるまでは時間がかかるのが理科の特徴ですね。
物理と化学については、中学受験の範囲だとよくわからないと思ったので、家では同じシリーズの漫画の中学用のものがあります。こっちの方が、化学反応式で話をしていてスッキリしています。また、電流と電圧のところでは、オームの法則を説明していてすっきりとしています。それを直接使う必要はありませんが、理解には役立つと思います。ただ、人それぞれだと思うので、是々非々で考えてみてください。
これと授業で使う理科の資料集を授業中や復習のときによく見ておく事が大切だと思います。特に写真、色は大切ですね。
(2)概念の整理
サピのテキストの最初の授業のまとめの部分は非常によくまとまっていると思います。これとポイントチェックが、まさに理科のまとめのミニノートになっています。
授業でノートをとっていますが、本当はこのポイントチェックと同程度のノートが自分で作成できると望ましいのですが、それを期待するのは難しいと思っているので、授業の復習でこのテキストの部分を熟読した上で、ポイントチェックを書き込んで知識を整理するように指導しています。
また、このポイントチェックについては、コピーをとってデイリーチェックと一緒にファイルしてテスト前には復習をさせています。これだけでもミニマム覚えないと行けない事は整理されると思います。これが結晶化したものがコアプラスという位置づけになります。実際、見比べるとほとんど同じだと思います。
(3)知識の定着、引き出しの練習
問題があるので問題を解いて、テスト前に復習としてほぼ覚えるくらいまで繰り返す。発展問題は簡単な回もありますが、入試の過去問ですごく難しいものもあるので、意味があるものについては自力で解けなくても答えを写してでも考え方をなぞるようにしています。
ただ、マンスリー対策的には、発展問題をやっていなくても80%位までは行けると思います。
毎回の単元でこれらのことをきっちりとこなしていると必要な基礎知識については整理されます。マンスリーで70%位で得点できれば、だいたい、その単元の理解はOKという事だと思います。後は忘れないようにして、6年時の入試問題対応出来るようにしておく事が大切です。
3.我が子の場合
最近、4年時と比べて理科がイマイチだったのですが、テストの失点原因とつきあわせてみると、(2)、(3)の基本的な知識のところの定着が甘かったようです。(1)の概念理解はちゃんと分かっているようでした。難しい問題は皆も出来ないのでまあいいのですが、基本問題や語句などで点数をぼろぼろと落としていたので、(2)(3)をちゃんとやらせるようにしたら、改善しました。結局、どこまで(2)(3)をちゃんとやるかという事かと思います。
ただ、マンスリーが出来なくても、基礎トレ、コアプラスのテストとこうした基本的な知識を定着させるのは、毎回の単元、マンスリーの後でも、一定のタイムラグを置いて繰り返してやる仕組みになっています。
たとえ初めて習ったときに出来なくてもこうしたことを何回もやっていると徐々に馴染んで概念に慣れてきて、そのうちそれが当然と思えるようになってきます。
社会と異なり、算数にしても理科にしても、初めて習った事を定着して身に付くまでに一定の時間がかかります。物理的に2−3ヶ月の熟成期間が必要なこともあり、たとえその間に同じ分野の問題をやらなかったとしても、他との関連で理解が深まる、だんだん考え方に馴染んでくるということで、3ヶ月位すると以前は全く出来なかったのが簡単に思えるような事があります。他方、全く忘れていたり、以前、出来ない、という事もありますので、後者の場合は弱点発見という事で理解できてない点はつぶして忘れているところは記憶の再強化を図る事が必要ですね。
いずれにせよ、繰り返し出てくるのでその都度復習していけばいいと思います。
コメント
こんにちは。
ご推薦いただいた漫画本を購入しました。
中学生用のものを買いましたが、これなら化学式とか電気の抵抗のところとか、子供がうまく食いついてくれそうです。
一通り読みましたが、中学受験勉強をしていたら、公立中学の理科の授業はほぼ全て網羅してしまってますね。
全落ちで公立という道、余計に考えられなくなりました。
ありがとうございました。
理科については、小学校の範囲という制限があるため中学受験では中途半端なところで切っているように思えますが、入試問題ではオームの法則や化学式に近い考え方を使っているものもあるようです。特に中堅校の思考力を見る問題にそうした発想が強いように思います。遺伝とか化学式あたりのところを除いては中学理科は余りやる事もないように思うので、中学校に入ったら社会もそうですが基礎はあるので高校までは伸び伸びとできるのではないでしょうか。国語も現代国語については文章の抽象度の違いこそあれ、センター試験でも通用するような頭の使い方をマスターするのではないかと思います。従って、中学では数学、英語に注力し、後は人間関係構築、部活動に打ち込むという感じではないかと思っています。まだまだ先の話ですが。。。。