本の紹介「灘 東大理Ⅲの3兄弟を育てた母の秀才の育て方」

本屋に「灘 東大理Ⅲの3兄弟を育てた母の秀才の育て方」という本が置いてあり、気になったので買って読んでみました。

奈良県在住、父親は東大出身の弁護士、母親は津田塾出身の高校英語教師でしたが、今は専業主婦。
男の子3人を灘中に入れるとともに、3人を東大理科三類に入れたという母親の勉強に関する本です。

その感想です。

勉強法については、割と私が考えて実践している事と同じことをしているなという印象でした。グッズの使い方や、勉強の仕方、ゴールの設定の仕方など、これらは伊藤真の「続ける力」でもそうですが、大抵の勉強本や仕事本についての成功のためのメソッドとしてはある程度確立しているのではないかと思います。

続ける力」伊藤真 ー 中学受験との関係

他方、この本がすごいと思ったのは、著者の佐藤さんの子供に対する責任の取り方の徹底ぶりです。
例えば、

  • 「靴下をはかせて」朝は起こす。
  • 「散らかすのは子供、片付けはお母さん」
  • 「お手伝いはさせなくていい」
  • 「無理に学校に行かせずすぐ休ませる」
  • 「家の中から危険な物は徹底的に排除する」

みるだけで想像がつきますが、例えばフォークで事故になりかねないということで小学校2年になるまでフォークを使わなかったとか、調子が悪いくらいならすぐ休ませる、など徹底しています。

私は父親なので日々の生活の管理はしていませんが、ここまで母親が責任を持ってやりきるというのもある意味徹底していてすごいと思います。逆に勉強以外の余計な事に気を使わなくていいという環境を構築して、勉強に専念できる環境を作ることに徹すると。

幼少時教育でなるほどと思ったのが、

  • 何よりもよみかきそろばんからはじめる
  • 早期の英語教育は必要ない
  • 幼少時の勉強のキモは先取りにあり

で、これは私も同じ考えを持っていました。サピでもそうですが、結局6年までの過程を5年生で終えて後は入試対策をします。実際、算数、国語などは6年間小学校レベルの勉強をダラダラやらずにどんどん先に進めてしまえばいいと思っています。
公文だったら1年から続けてれば4年生くらいには6年までの計算や漢字は終わると思うのでそれからサピというのも効率的かもしれません。
理科社会も概念導入が精神年齢が高くないと出来ませんが、小学校の教科書レベルだけならそんなに情報量もないのですぐ終わりそうです。ただ、中学入試の場合は入試なので非常に植物や昆虫が細かかったり、社会でも正確な暗記が問われる事になり、大変なのですが、だからといって極めて難しい訳ではないと思います。

具体の勉強法は本を見てもらうといいかと思いますが、その実践方法には首肯できるものが多かったです。2つ紹介すると、

テストは必ず100点を狙わせる。

100点を取ろうとして、それでも80点になる事がある、はじめから80点でいいやとすると60点しか取れない。

『全力でテスト勉強をしたつもりだったけど、結局パーフェクトにはできなかったということを受け止め、反省して糧にする。それが積み重なったとき「完璧な勉強なんてないんだ。だから常日頃から丁寧にしないと点数なんて取れないんだと気づくでしょう。』

不安を吹き飛ばす「佐藤家特製過去問」

灘中の過去問を19年分集めて4科目、4回分をコピーして解かせたという話があり、これは非常に理にかなった方法だと思います。

入試も資格試験もそうですが、模試でもサピのテストでもいくらその問題を似せてもやはり実際に出た過去問とはテイストが微妙に違っています。またその年の全科目を解いてみると科目間のバランスだとか、レベル感というのが分かってくるかと思います。

サピで上のクラスにいる事が目的ではなく、最終的に志望校に合格することが目的となる訳ですから、ある段階で志望校にフォーカスした勉強をした方が効率がいいのは確かです。

男子御三家でいえば、四教科の科目の作り方のテイストが異なっています。サピの入試傾向分析本と実際に過去問を見てもらえば分かりますが、同じ知識を持ってしても求めるアウトプットの仕方が異なっています。従って変にぶれる事なく、ちゃんと目標設定して取り組む事が大切だと思います。

ある意味、この佐藤さんのしている事は、やるべき事を徹底してやっているのですが、その徹底ぶりがすごく、それをちゃんとこなす息子さんたちもすごかったのだと思います。

大学受験のところは勉強のストラテジーとしてはまさにおっしゃる通りです。ただ、参考書は子供が成長する際にはトレンドが変わっているかもしれません。

ここはまだ先の話ですし、成長して自主性も出てくるかと思うのでその際にまた子供と考えていきたいと思っています。

いやはや「親力」が試されている気がしてきました。