理科と社会の暗記は早く始めるべきか

前回、「理科と社会の暗記について」の記事を書きました。
理科と社会の暗記について

現時点では算数と国語に時間をかけて理科と社会の勉強のウエイトは5;3;1;1という話もサピの保護者会で聞きますが、理科と社会については暗記については覚えるのは早いにこした事がないというのが私の考えです。

始めに断っておきますが、中学受験において一番点差がつきやすいのは算数で、かつ算数については算数小僧のように特に勉強しなくても満点近く取れる子供がいる一方で、どれだけ頑張っても平均少し越えるだけ、という人もいます。また国語についても読解については、ある程度方法論があるものの、漢字、語彙、精神年齢と時間がかかる部分があるのですぐさま目に見える効果を得るのは難しい部分があり、どちらも継続的に粘り強く続けていく必要があります。

他方、理科、社会についてはある程度知識体系がはっきりしておりエントリーレベルから入試レベルまでのギャップが算数、国語ほどは大きくありません。また、覚えるべき事もそんなに多量にあるわけではありません。

どちらも小学校では4年くらいから始まり、1年からある算数と国語に比べると割と差を詰めることが出来やすい科目となっています。

理科、社会については、普通に日本語が理解できて漢字の書く事ができれば、後は一定の整理学に基づいた体系的な理解は必要ですが、重要なのはもっぱら暗記になります。端的に知っているか知らないか、1か0のデジタルな世界です。
覚える事も中途半端に覚えても意味がなく、漢字も含めて完璧に暗記する必要があります。他方、一旦完璧に覚えてしまえば、問題を解くのは瞬殺で解く事が出来てある程度の得点を確実に計算することができます。

算数の一問、国語の一問も理科、社会の一問も点数としては同じ重みがありますが、同じ点数を取るのに書けるコストで考えれば、暗記したらおしまいの科目の方が費用対効果は高いのは確かです。

このため、繰り返しになりますが、覚えてすむものはとっとと覚えてしまった方がいい、というのが結論です。

理科社会の物事を初めて聞いてコンセプトを理解する、問題を解いて演習するのですが、特に理科と社会はテクニカルタームをたくさん覚える必要があります。なにぶん、理科という体系、社会という体系を初めて習うに加えて膨大な専門用語?を正確に覚える必要があり大変です。

覚える事自体は、始めは非常に大きなエネルギーがいるので算数が得意な男の子などは面倒くさいといってさぼりがちであることが多いのですが、大変なのは1回目の暗記の作業です。2回目、3回目と反復するときの労力は始めの1/2どころかずっと少ない労力で覚える事が出来ます。これはやれば分かるので面倒がらずにやらせる事が大切です。

覚え方は人それぞれで紙に書いたりノートに整理しないと駄目な人もいると思うので自分にあった方法を見つけてもらえればいいかと思いますが、大人と違って子供は意味のない丸暗記をする脳の柔軟性をもっているので、中学生になる位までに覚えるべき事は大量に流し込んだ方が後々楽だと思っています。

大学受験においては、英語があり3000語とか5000語の英単語を中学から高校の間に暗記する事が求められます。また、社会にでても法律や経済、医学、工学、理学、語学とあらゆる分野でその学問体系の理解の後は、使えるようになるためにはコンセプトを理解するだけでなく専門用語の暗記が必要となります。頭の中に専門用語を定着させてコンセプトを動かせるようになって初めてその分野の事が理解できたと言えるのだと思います。本当は算数も同じなのですが、言語化していなくて、よりロジックのつながりでいくので暗記の要素が低いだけだと思いますが、ロジックの流れを覚えているといういみでは同じようなものだと思います。

特にプロフェッショナルな職業は、一定のまとまった知識体系が必要です。臓器の名前が言えない医者に診断を受けたり、法律の条文をうろ覚えな弁護士に相談はしたくないのと同様、理解の後にはある程度のその知識体系の暗記が必要とされます。

それを考えると、社会そのもののを細々と覚える事の意味とは、中学受験を通じた知識体系を整理し覚えるというトレーニングをしていると言えるのではないでしょうか。

では、具体的な勉強としては何かと言えば、理科と社会については毎回の授業のデイリーチェックでちゃんと点数が取れるように毎回の単元をきっちりとこなすということです。理科で言えば、授業ノートの内容とテキストの内容を理解した上で解いた問題の解答をちゃんと覚える(考え方も含めて)ですし、社会で言えば、テキストの図表を中心にデータと重要なキーワードを背景知識とともに覚えていく事になります。

毎回の勉強で言えばテキスト読んで問題解くのが終わってから純粋のその暗記の作業として30分ー1時間位かけると暗記できるのではないでしょうか。そうして単元毎にきっちりと覚えていくというのをサイクルで回していけば、年間で50-60回分の授業がありますのでトータルでは膨大な量になるかと思います。

どうせ忘れるので、それをマンスリーテスト毎に復習し、組み分けで復習する。それを通じて重要なことは繰り返し暗記作業をするので定着していきます。6年生になると入試対策ということで問題演習になりますが、入試においてマスターしておくべき知識のミニマムはコアプラスという事になると思います。5年の授業のテキストはこのコアプラスよりも範囲が狭いぶんだけ細かいとは思いますが、背景知識も含めて一旦は覚え、反復して出てくるものを記憶し直すとうまい具合に知識が体系化されて頭に定着するのではないかと思います。

理科、社会を初めて勉強する子供に取っては大変かとは思いますが、テキストやマンスリーの問題を見ている限り、理科は生物以外、地理は最近の統計データを除き大人の自分自身も常識的な知識として覚えている(私自身は中学受験をしたわけではありません。)ので、子供も今は大変でも必要な知識セットとして早く覚えるにこした事はないかと思っています。(まとまった本とか、1学期毎に分冊の方が便利だとは思いますが。。。逆にこうしたsmall stepで集めると膨大、というのが子供にはいいのかもしれません。)

長くなりましたが、暗記物は覚えたらおしまいで明確に終わりがある作業で、かつその成果が目に見えてよくわかるところなので、算数、国語でなかなか成果がでないということであれば、短期的なてこ入れとしては子供にとっても効果が見えやすい施策ではないかと思います。

勉強は大学受験まで理解力と暗記力、それと継続する力が相当ものをいうので、量を流し込む事に慣れる事は大切だと思います。

ただ、はじめにもいったように算数、国語ができないと中学受験は乗り切れませんので算数国語を軽視する事のないようにうまく学習計画に落とし込む事が必要です。

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