中学受験の場合、大学受験と異なり思考プロセスは見られることなく、回答欄はたくさんのマス目があるものが多いです。採点もほぼ即日、翌日、遅くとも明後日で合否が分かるため、記述でじっくりというものではなく、短答式、語句、記号選択が多いです。特に理科・社会は答えを書かせるものが多いですが、そのためには「知識」で済むものは知識で済まさないといけません。
以前社会について暗記のとの関係で記事を書きました。
単純な知識で済む分野についていえば、
- 漢字
- 慣用句・ことわざ・語彙
- 社会の全般(地図の場所、統計データの読み取り、推測等は除く)
- 理科の基本知識(特に生物、地学、化学の一部)の分野
があります。算数も、特殊算などは基本解法があり、暗記といえないこともないのですが、上記のものとはやや性質が異なるためここでは「覚えるべきもの」、「暗記もの」とは区別します。
さて、暗記物について覚える方法については書籍がいろいろ出ていて語呂合わせ、書いて覚えるなどいろいろあります。ここではテクニックの話ではなく意義について。
大切なことは、不正確な知識は役に立ちません。例えば愛媛県を「えみめけん」であることを知っていても、受媛県と書いたらバツですし、卑弥呼も卑弥子と書いたらバツになります。地名、人名は小学生の習う漢字の範囲を超えていますが、正確に覚える必要があります。国語であれば、漢字のトメハネまで含めて正確に書けることが必要になります。
漢字については、低学年のうちはトメハネを含めた細かいところを注意して書く必要があります。、漢字ドリルやノートで何回も書くことが有効です。他方、3,4年から5,6年になるとへんとつくりで漢字の構造が分かっているのでよほど特殊な新出漢字でなければその熟語の意味と書き方を理解すれば回数を繰り返すこと自体には意味がなく、本人が分かったと思える時点でやめたらいいと思います。
社会についても、初めて歴史の人物名が出てくるときや地名は何回か書いて覚える必要があるかと思ます。ここで字を間違えて覚えるとずっと軌道修正できないので、初回のInputは慎重に正確に覚える必要があります。いったん覚えてしまえば何度も書く必要はないです。たまに忘れいていないか長期休暇の時に回すくらいでいいかと思います。
理科については、漢字が難しいというよりは概念とそれに関する用語なので理解を伴う必要があります。特に細かいのは生物で分類学的に覚える項目が多い(花びらの数とか、植物の名前、種類など)ですが、頭の使い方は社会や国語とはだいぶ違います。理科の場合は、覚えることも必要ですが、それぞれの小単元についての基本概念と考え方を理解したうえでその単元で必要とされる体系が頭に入らないと、社会のように一次元的に言葉だけ覚えても知識をうまく取り出すことができません。その点は注意が必要です。
さて、読んで理解できる、分かる、一応書ける、という状態と「暗記していつでもテストで再現できる」状態は異なります。テストでは即時に再現、頭の引き出しの中から取り出せるようになっている必要があり、弱い記憶では使えません。
完璧に暗記するということは、その瞬間に精神的なエネルギーをかけてその項目リストを覚える、という意識が必要な非常に集中力がいる作業になります。15分くらい集中したらくたびれるくらいの精神的なエネルギーをかける必要があります。
その観点から、社会のデイリーステップや社会、理科のコアプラス、低学年の漢字のテストの範囲などは、一般的な小学生が1週間でさほど苦労することなく覚えることのできる程度の量になっていると思います。
大切なのは、これを漫然と読んで終わりにするのではなくて、1回について15分程度「超集中」して覚える、ということです。いったん覚えてしまえば完全に忘れてしまっても記憶をRefreshすることは簡単です。他方、一度完璧に覚えない限りは最後までうろ覚えの状態が続きます。個人的な見解としては社会や国語の語彙、漢字ができないのはこの暗記の精度が低いからだと思っています。
おすすめは、一旦デイリーステップを埋めたら、3日間連続で15分間音読+暗記タイムを設けて覚える。朝覚えたら夜思い出せるかテストする、感じですね。
5,6年になって忙しくなるとこうした暗記物、特にコアプラスは机の上でやることができなくなるので移動中や休憩時間の隙間時間にやることになります。一旦覚えていさえすれば目で見て覚えているか確認するだけですので、そんなに時間がかかりませんし、忘れているものがあればそれをRefreshするだけですのでそれほどの手間はかかりません。覚えていないといつまでも覚えていないままになりますので、お子さんに対しては、一度非常に狭い範囲でいいので、死ぬ気で完璧に覚える、ということを徹底させるのがいいと思います。
特に暗記物は、長期で繰り返すのも必要ですが初めに覚えるときには短期集中で過負荷を与えることが必要だと思っています。兄の場合も弟の場合もやりましたが、自分自身ではその方法論がまだ確立していないようなので、弟君には社会の繰り返しで刷り込みをさせているところです。兄には英単語でその方法を発揮してもらいたいところですが、まだ追い込まれていないのか、意欲が足りないようです。。
そういう意味ではサピのコアプラスの小テストはその量と頻度を見ると習った知識を定着させる目的では程よい量と頻度だと思っています。
小学生は意味なし記憶ができる年齢であり、ロジックや関係性がそれほどなくても丸ごと覚えることができると個人的には思っています。これが中学位になると難しいです。大人は無理ですね。このため大人的には無茶だと思える膨大な量を流し込んでも意外と覚えていられます。地理や歴史などの知識については長期休みにこれとこれをやると決めて一気に流し込む、毎回狭い範囲に区切りヘビーローテーションしてできるようになるまで繰り返し反復してできるまでやって次に進む、というのをやるといいかと思います。九九の暗記をしたと思いますがその要領ですね。1つでもできないものがあると無意味なので完璧になるまで狭い範囲を繰り返す。20-40くらいのリストを口頭で発生させると効果的です。社会は地名と地図帳を一致させる、歴史は事象と年表でこれをやることですね。
こうしたことを続けていると記憶力が強化されて結構量があるものもそれなりにさらっと覚えることができるようになります。音読も併せて声を出してぶつぶつ言いながら、かつストップウォッチで時間を測定しながらプレッシャーをかけて繰り返しをさせると効果的です。将来英語を勉強する際に全く同じことを英単語で行いますので、慣れると楽だと思います。
脳のキャパは12歳くらいまでに上限が決まるとの説もあるようなので、この時期に暗記物、思考力も含めて限界を広げておくのが将来的にはよいですね。思考力は算数と国語の記述で、記憶力は社会でという感じです。
何を覚えるべきかは毎回のテキストで提示されていると思いますのでそれを毎回着実に仕上げていくことだ大切だと思います。遅れていても範囲を区切って潰せていくので4,5年の方は長期休暇の際に取り組んでみることをお勧めします。
ご参考になれば幸いです。
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