「分かる」と「できる」と「点数が取れる事」の違い

サピックスに通塾する目的は、中学受験での志望校合格だと思います。毎回のテストで点数がよいにこしたことはないのですが、それに振り回されないことも大切です。勉強には段階があり、「分かること」「できること」「点数が取れること」が違います。特にサピックスの場合は、「点数を取る」ところのハードルが高いように思いますので、「点数」=「学力」と必ずしもなっていない場合もありますのでその点について。

中学受験に限りませんが、勉強一般について新しいことを学ぶ際には、まずその新しい知識や知識体系を先生からの授業で説明を聞いたり、教科書で学ぶことにより「分かる」ことが必要となります。この「分かる」ということは、最初のInputの段階であり、ここでよい教材、先生や塾に通うことにより、新しい知識や概念を興味深い形で効率よくInputすることができます。

この「分かる」というのは、子供はその瞬間は本当に「分かっている」のだと思います。これまでに知らないことを初めて知り面白いと感じて、知的好奇心を高めて新しい学びを進めていくのは素晴らしいことだと思います。

他方、中学受験や塾の場合は決まったコースカリキュラムがあり、その単元に従って進んでいくので、各単元ごとに、知らないといけない事、できるようにならない事、のミニマムのセットが決まっており、各個々人の理解度、興味は度外視して進められます。このミニマムが何かが知りたければ、サピのテキストだとバラバラなので分かりにくいのですが、例えば四谷大塚の予習シリーズを見ればその外縁が把握できると思います。

毎回の授業単元でその単元を説明されて、理解できて「分かった」となれば、次の段階はそれを自分自身でできるように「身に着ける」トレーニングが必要となります。これをこなすと「できる」という段階に到達します。

これは標準的な問題でその単元ごとに必要とされる典型問題や基本問題を解くこと、社会なら地名や年号と事件を暗記することが基本事項として該当します。基本ラインはサピックスでも提示されていると思います。例えば、デイリーステップ、デイリーチェック、基礎力定着テスト、基礎トレーニング、コアプラスなどがそうです。また、問題演習でも算数、理科などは前半部分はそういう基礎的な部分に対応しています。これについて反復することにより基礎の定着を図り、重要事項を浴びるようにドリルすることにより身に着けることができると思います。特に基礎トレやデイリーステップなどの基礎的な部分は簡単で大したことがないと思えるかもしれませんが、継続することで知識の定着、基本動作の習得には大きな効果があると思います。

ここまでできたら、勉強したといえるのですが、ここから先がサピックスの場合は大変です。普通は、ここまでドリルをするとある程度満足できる点数が取れるのですが、サピックスのテストの場合は、できる層を前提にして作問されるので、勉強してきた人が引っかかるところに重点が置かれた問題となっています。このため、普通の勉強だけだと、まだ「点数が取れる」ところまで到達せず、子供ができたという感触では想定した点数に届かない可能性があります。

このためサピのテストで点数を取るには、やや「過飽和」ともいえるようなドリルが必要となります。その対応は科目によって違いがありますが、例えば算数であれば、満点レベルでない120点越えくらいまでであれば、星2つの問題を完璧にするイメージで、解ける問題でも時間を短めにしてちゃんと解けるか、など。理科についてはデイリーチェックの直し、テキストの概念を押さえたうえで、発展以外の問題を完璧にする、社会であれば問題を解いたうえでテキスト読み込みを隅々までして地理なら白地図、歴史なら資料集を時間があれば読み込む感じでしょうか。国語についてはよい戦略が思いつきません。

これだけやっても、ある程度仕上げてきた子供たちの間で差がつくようなところを狙って出題するので最初はなかなか点数が取れないかもしれません。心が折れそうになりますが、その場合は、一旦テストの振り返りとしての得点率を見て、得点率の高い問題での取りこぼしがないかを確認し、現時点で皆ができてる問題で取りこぼしがなければ良しとして、次に進んで行くことが大切です。

サピックスの場合はスパイラル授業なので、理科・社会はまた同じ単元を触ることになります。前回しっかりと勉強していれば、その間、特にその単元を触っていなくても時間によって知識が整理、定着し、前よりは理解がしやすくなっていることがあります。その際に改めて同じ労力をかけて仕上げる努力をすると、目先のテストという意味ではまだ足りないかもしれませんが、最終的に「理解して入試問題が解けるようになる」ところには到達すると思います。

算数についても初めて問題の解き方を習った時にはそれをそのまま使いこなすことに精一杯ですが、その問題の解き方をマスターして3か月くらいたつと、基礎力定着トレーニングや基礎力定着テストで何回も繰り返し類題演習をするので、知らない間に「なじんで」来ます。そうすると以前は難しかったものが自分にとって普通のこととして扱うことができるようになります。後は、基本的な四則演算能力、字や計算式の扱い方という点は別として単元の理解は深まっているはずなので、再度集中的なドリルをして完全に定着した、という状態に持っていくことができるか、だと思います。

社会の公民以外は新規単元は5年でいったん終わるのでそこから塗り直しをする中で最終的には6年最後には知識・情報・演習としてはイコールな条件になります。その間にどれだけ与えられたものを一つずつ着実にマスターしていくか、ということが6年後半の実際の入試に向かう際の自分にとっての武器となるのではないでしょうか。

なお、実際に自分が受験する学校の過去問を分析すると分かりますが、サピの授業では内容が受験に不足することはまずなくて、学校及び科目によってはやりすぎ、というところもあります。科目で偏差値や点数が取れないからといっても、最終的には受験日当日に志望校での必要な合格最低点を取るために、必要な科目の配点での得点を考えつつ、それに間に合うように、どこまで仕上げればいいのか、何に重点を置きつつ勉強するのか、は見失わないようにしておくことが大切だと思います。

長くなりましたが、学力に関していえば、潜在的には蓄積されているが、まだサピのテストでは点数として数値化されないエリアの学力というのが結構あって、そこであきらめてしまうことなく学習を継続していると、ある程度学習が進み、自分の中での科目に多する体系化や理解ができると成績が上昇する余地があります。

特に実際の入試問題は、選抜試験なので「ふるい落とす」という要素もありますが、「こういう生徒を取りたい」、「こういうことに気付いてね」、というメッセージがあります。サピのテストは修練度を見るため、「それを出題する?」みたいな差のつくポイントをクリアしていないと点数になりませんが、コツコツと勉強して積み上げて、こうしたサピのテストでたとえその時には満足のいかない点数でも都度の課題を乗り越えてきた場合は、合格に必要な点数を積み上げることができるのではないでしょうか。

なかなか結果が見えない時に子供を信じて頑張るのは大変ですが、正しく勉強していることは無駄にはならないと思いますので、目先の結果に焦らず、最終的なゴールを目指してコツコツと継続することが何よりも大切だと思います。

 

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