算数に役立つことー低学年向け

中学受験においては算数の出来が大きくその結果を左右します。高学年になると日々の算数の課題に対応に追われて渦中の中で目の前の対応をしている中で受験を迎えるということになりますが、時間のある小学校低学年、入塾前にやっておくといいことについて書きます。

1.計算力・計算処理力

  • 最終的に高度な手法や考え方を中学受験では学びそれを駆使して最後は所見の問題でも何とかして対応することが必要になります。この時に算数のセンスや幅広い計算手法に関する知識も必要となりますが、試験時間は有限であり、算数の問題を「考えること」に集中するためには、その前段階の「計算処理」に対して絶対的な自信と優位を持っている必要があります。
  • また、算数の問題は考え方や計算過程を見てくれる学校もありますが、回答欄しかない学校もありますので、どれだけやり方が分かってていて正しい手順で計算できていても答えが1でもずれていたら不正解になるわけです。このため、正しく計算ができること、早く計算処理ができることは非常に大切だと思います。
  • これは何も中学受験に限る話ではなくて、大学受験でも四則演算が重要となるヘビーな数値計算が微積分では出てくるので、できるに越したことはありません。
  • 具体的には分数の四則演算までできていればよいです。計算の工夫をして早くかつ楽にできるようにするのは、塾に入ってから学ぶのでもいいですし、好きな人は低学年からそういった工夫を自分で進めていると思います。
  • 3年、4年くらいまでに分数の四則演算までできるようになっていればいいと思いますが、御家庭で計算ドリルを教えながら進める、公文であればF(分数の四則演算)までやる、そろばん、などがあるかと思います。
  • 公文については、中学の文字式や連立方程式解けると便利ですが、そこよりもむしろ分数の計算について自信がつくまでやりこむというのがよいと思います。
  • そろばんについては、現代においてはそれ自体が役に立つことはありませんが、計算をするうえで、機械的に足し算(足して5、足して10になる操作)と九九、繰り上がり、繰り下がりを含めた演算を「そろばん」という具体的な玉を使って操作します。例えば、12345×345だと、その処理で、掛け算を15回を頭の中で行い、繰り上がりを含めた足し算を玉を指で動かしながら処理することになるので、1回の計算で相当な処理を頭の中でします。加えて1か所でも間違えると答えが合わずに×になるので、指先を使って正確に計算する正確さ、と忍耐力が身に付きます。暗算できるようになって便利というのは、そろばんでいうと初段くらいにならないと正確さにかけるので、高段者まで続ければ計算上役立ちますが、現実的には低学年で数字になじんで、指先を細かく使うことで脳が発達すること、計算に対する集中力が増すことが実益なのだと思います。
  • 塾でやる〇〇算などをやる前に計算処理力自体は別のものとしてトレーニングすることができるので、これをある程度低学年にやりこんでおくと後々楽になります。

2.図形的なセンス

  • 具体物を触るのであればなんでもいいと思いますが、例えばレゴやジグソーパズル、ルービックキューブなどがありますね。折り紙や工作など実際に手を動かして何か作るということを通じても自分の中で大きさや回転、折り返し、距離感などの感覚が養われると思います。
  • 図形パズルの本がいろいろ出ていますが、これをやるとできるようになるかは、人によるのだと思います。好きなら好きでやればいいのでしょうが、好きでない人が無理にやらなくても図形については、サピの授業のコースカリキュラム、学校の授業を通じた中で経験をしていくことでも対応できるのではないかと思います。

3.パズル系の問題

  • ゲームのパズル系の問題でもいいでしょうし、この辺りはクイズ本やなぞなぞなどの本もそうしたパズル的な要素を涵養すると思います。
  • 中学受験ということであれば、サピの出している「きらめき算数脳」は、後々のサピの思考力系の要素を取り込みつつ、勉強色がそこまで強くないドリルなので、小学校1-4年くらいまでの間に1,2回繰り返すとよいかもしれません。
  • 子供には、きらめき算数の1・2、2・3,3・4,4・5のシリーズを1,2回繰り返しましたが、いつの間にか未就学向けや単元ごとに増えていますね。適当なものでお子さんに向いているものを使うといいのかもしれません。
  • 後は、子供向けに過度にカスタマイズされていないプログラミングは思考力・論理力を強くするのに役立つと思います。条件分岐や繰り返し構造を期待した通りに動かすこと、そのバグを直すことを通じてロジカルな考え方が身に付きます。
  • 自身の経験でいえば、ゲーム機のない時代に自分で雑誌のプログラムを打ち込んでそれで数当てゲームを作る、なんてことをやっていて、夢中にやっているうちに論理的な力がついたように思います。

4.その他習い事

  • 算数に一番近いのは将棋だと思います。将棋は低学年から始めるのは少し難しいかもしれません。囲碁も石を数えること、空間的な配置などについて考えることになります。どちらも低学年の頭の柔軟なうちに始めると、勉強的な感覚のないゲーム的な感覚で状況判断力や論理力が鍛えられると思います。
  • 算数オリンピックやパズル系の算数塾などもゲーム感覚で楽しいと本人が思えるのであればよいと思いますが、親のエゴでやらせるのは苦行以外の何物でもないのでどうかと思います。
  • 意外ですが、ピアノは算数や脳の発達に寄与すると考えています。他の楽器でもいいのかもしれませんが、ピアノの場合は明示的に10本の指をバラバラに使う練習をするので、小さい時に始めると脳が発達するのではないかと思います。また楽譜を暗記すること、メロディが音が外れていたら分かるので、それが美しくないと感じるような感性というのは、将来自然科学の数学や理科の現象を見て「美しい」と思えるかどうかというところにもつながっているかと思います。

5.「考え続ける脳の体力」

  • 中学受験の算数では、特に計算処理力が大切だと思いますが、もう一つ将来の数学も含めて大切だと思っているものに「考え続ける脳の体力」があると考えています。
  • 低学年では、大人から見て「すごく面倒くさい面倒なもの」についてどれだけ飽かずにそれを継続できるか、という脳の集中力や体力、となりますかね。
  • 中学受験の算数はまさにこれを鍛えるのですが、その地力として「面倒なことを集中して考え続ける」ことが大切だと思います。
  • 私見ですが、将棋や囲碁のプロの棋士、中学受験など、入れ子になった場合分けや分岐処理の多いものを考える能力は、12歳くらいまでに脳の回路が固まってしまい、それまでにどれだけ面倒なことを考えるトレーニングをしたことがあるか、ということでその後のCPUとしての脳の処理能力が決まってしまうのではないかと思っています。その意味では、中学受験の算数で脳から煙が出るまで考えるという経験は、自身の脳のキャパを広げて将来の受験や仕事に役立つのだと思っています。

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