年末で時間があるので、これまでの自分の大学受験や塾講師の経験、資格試験等の経験を振り返り、受験勉強の戦略について書きたいと思います。
このブログを読まれている方は、中学受験を考えSapixに通わせている親御さんだと思います。我が子は、小4なので、内容的にはおそらく小3、小4の親御さんが主に読まれている方かと思います。
子供を中学受験して私立もしくは国公立の六年一貫校に入れるということは、各家庭でいろいろな事を検討の上結論を出し、その上で塾(この場合はSapix)に入れたという事だと思いますが、ここではその価値判断には触れません。
さて、それを所与とした上で、中学受験のゴールとは何でしょうか?
それは、2017年の2月に第一志望の中学に合格させる事です。(小4だとしています。)
そんな当たり前な事をと思うかもしれませんが、物事を考える上で、最終的なゴールを明確にしておく事は大切です。
中学受験とは、「2017年2月の特定の日(御三家なら1日、国立なら3日)に、試験会場に行き、制限時間内で四教科の総合点で合格基準点を1点でも上回って」合格すること、にあります。
それまでの「過程」はどうでもよく、ただ当日の特定の日に合格点を確保する答案を作成できるかにあります。
Sapixに入ってからずっとアルファだった、模試ではいつも合格可能性80%越えだった、クラスは下の方で、合格可能性は20%以下だった、これらは全て過程でしかありません。「結果」のみが大切です。
もちろん、常にアルファで成績上位で合格可能性が高い方がいいに決まっていますし、多くの難関校に合格するにこしたことはないですが、「体は一つなので、通う中学は一つ」である事は認識しておく必要があります。
さて、その上で、合格するとは、中学受験の場合はメンタルな部分もありますが、試験自体はペーパーテストで採点基準も公平ですから、ほぼ学力で決まると考えて構わないと思います。
また、定員のある試験なので、何割解けたら合格という資格試験とは異なる要素がありますが、同一受験者層が、一定の時間をかけた上で試験を受けるので、6年2月時に期待される学力の想定ラインは存在します。また、大学受験と異なり、浪人のオプションがなく制限時間は同じです。このため、一定の受験者層が、4年生から受験勉強を初めて6年2月で到達するレベルとしては、ある一定の範囲内に収まります。
それを踏まえると合格の方程式は、以下になります。
(合格要求水準の学力) < (発射台) + (能力)× (勉強時間) × (学習効率)
合格要求水準: ほぼ学校の偏差値で決まりますが、受験者層のレベルで上下します。
発射台:受験勉強スタート時の子供の知識や学力レベル、高いほど当然受験勉強は楽
能力: 勉強に関する能力、いろいろありますが抽象的な能力としておきます。
勉強時間: そのままです。
学習効率: 集中具合や勉強の効率の良さなどを踏まえた実効性
4年生からSapixに通い始めてから6年2月の時点でこの条件をクリアするか、というゲームです。
その途中のプロセスは、子供の能力や発射台、戦略によって変わりうるので、プロセスでどこの水準にいるのかを一喜一憂しても仕方ありません。もちろん、ベンチマークにはなりますが。
例えば、
志望校の要求水準が高くなければ、そんなに頑張らなくてもいいのは自明です。
発射台が高ければ、やることは少なくてすみます。
能力が高くて、一回聞いただけで覚えられるとか、理解力すごいと楽です。
学習時間は、かけただけ量をこなせます。
学習効率は、集中して出来たり、要領の良いやり方をすれば、その密度を高める事が出来ます。
最終的にどういう経路を通ってゴールに到達するかは人それぞれでしょう。先行逃げ切り型も入れば、追い上げるタイプ、直線的に伸びていくタイプもいると思います。メンタルな所を除いて伸び悩みがあるかもしれませんが、それは、主に能力、時間、効率のどれかが良くないという事になります。
さて以上を踏まえて一つ具体的な事例を
勉強時間についてですが、これは1年365日、1日24時間なので誰しも制限時間は決まっています。
一般論として、小3の2月から、小6の2月の3年間とすると、勉強可能な時間は決まっています。
例えば、極端な例で、月ー金 6時間、土日10時間で50時間/週
少ない例で 月ー金 2時間 土日3時間で 16時間/週
3年間で150週間程度とすれば、勉強時間は、3年で2,400時間ー7,500時間となります。
まあ、3,000-4,000時間というのが現実的な所なのではないでしょうか。
つまり、小4からSapixに通わせた場合、3年間で3-4,000時間かけて、合格要求水準の点数をとるための勉強が目標を達成するためのAgendaであると言う事が出来ます。
後は、能力と効率のパラメーターと発射台に応じてやる事が変わってきます。
中学受験の塾は、こんな分析はしないと思いますが、ある程度こうした1)土台、2)能力、3)勉強時間、4)効率、について一定の生徒像を置いた上で適正なカリキュラムが組まれていると思います。
ただ、塾が置くのは想定値であって、自分の子供のタイプと成長曲線、得意、苦手な分野は違うと思うのでそれを自分の子供の状況をみつつどう認識するかは親が持っているべき物差しだと思います。
塾の到達レベルはあくまで想定値であり、そのベンチマークからどれだけ外れているかを認識しつつ、最終的に6年2月に要求水準を越えるのか、を常に意識しておく必要があります。逆言うと、最後に間に合えさえすればいい訳で、そのギャップが埋められる範囲である限りは目先ではなく、ゴールを見据えてやることをやっていればいい訳です。
次回に続きます。