「失敗しない中学受験入門」 ー和田秀樹

こないだ和田秀樹氏の「受験は要領」を紹介しましたが、本屋の中学受験コーナーにいったところ、和田氏の中学受験に関する本が昨年初版で出ていたようなので読んでみました。

ちなみに和田秀樹氏は、灘中5位入学、灘高、東大理科3類、東大医学部卒の精神科医であり、合わせて「緑鐵受験指導ゼミナール」を主宰している方です。弟さんにも東大法学部、弁護士、娘さんは女子学院、桜蔭とのこと。

昔、「数学は暗記だ」という事で一世を風靡した方なのですが、受験については確かな方法論を提示してくれているので、中学受験のみならず、大学受験も含めて全体像を見ておきたい方にはおすすめです。

目次はこんな感じです。

第1章 中学受験とはなにか(なぜ中学受験にチャレンジするのか中学受験の向き不向き ほか)
第2章 大学受験から中学受験を考える(学歴社会に見る中学受験中学受験後のビジョン ほか)
第3章 受験を決めたときに親がやるべきこと(志望校選びと親の役割塾の選びかた ほか)
第4章 最後まで走り続けるための必勝法(効率的に成績を上げるには子どもと親のメンタルヘルス ほか)

中学受験の意義については、「計算力」、「読解力」、「学習習慣」が身に付くこと、6年かけたカリキュラムのメリットがあります。また、大人になると競争社会なのに、競争を回避してはストレス体制が育たず、競争を通じて自分に自信を持たせる事になり、いじめにも負けなくなると。

また、中学受験に向き不向きのタイプがあること、遺伝よりも親のノウハウや接し方が大切なことなどがあります。
面白いと思ったのは、男女差がある点です。発育段階で違いがあるのですが、それはそのとおりだと。

ちなみに3月26日号の週刊新潮に「東大合格校はなぜ「男子校」「女子校」ばかりなのか?(育児・教育ジャーナリスト おおたとしまさ)」という記事が出てました。
https://www.shinchosha.co.jp/shukanshincho/backnumber/20150318/
男子と女子では物事に対するアプローチの仕方に違いがあり、男子校、女子校の進学校は意図的ではないものの、その特性に応じてカスタマイズされているというような内容でした。たまたま本屋で見たのですが、Webには上がっていないようです。

もう一つ面白かったのは、2013年に公表されたOECDのPIAAC(国際成人力調査)が、24カ国の成人に対して行った「読解力」「数的思考力」「ITを活用した問題解決能力」でITを除いて、日本人が文句なしで世界1だったとの事。また、ゆとり世代のところでは順位が落ちているとの事。

当たり前ですが、世界では隣に10億人の中国、7億人のインド人がいてその最優秀層だけでも単純計算日本人の10倍はいるので、その人たちと競争していくためには、相当基礎学力がないといけない訳です。それでもまだ日本の初等教育が持っているのも、こうした受験のおかげなのだと思います。

次の「第2章 大学受験から中学受験を考える」が秀逸です。項目だけ並べておきます。
ー学歴が「必要条件」である理由
ー世界のエリートと肩を並べるために
ー中学受験後のビジョン
ー東大をベースに考えるのはなぜか
ー東大を狙うには
ー東大合格は夢ではない
ー合格最低点主義がものをいう
ー東大受験に勝つ3つの条件

中学受験をターゲットにしていると、目先は御三家に入ることがベンチマークになりますが、もともと和田氏は大学受験の勉強法に造詣が深い方であり、特に合格メソッドに精通しています。「東大至上主義」をどう考えるかは人それぞれですが、なぜベンチマークとするのかについても説明されています。
上の「合格最低点主義がものをいう」あたりは、中学受験にも当てはまります。(ただし、大学受験は得意科目を伸ばせば、不得意科目があっても乗り切れますが、中学受験はひどい科目があると難しいと思いますが、分析手法、方法論は同じです。)

東大を中心とした大学受験についてより詳しく知りたければ、和田氏の大学受験関係の書籍にどの参考書をいつ頃使えばいいかも含めて指南する本が出ています。

本の後半は、後半は塾、学校の選び方、受験時のメンタルヘルスコントロールなどですが、この辺りは元々和田氏は精神科医であり、かつ、受験指導の専門家でもあるので造詣が深いです。塾、学校は皆さん決めているかと思いますので、塾に通わせているのメンタルや成績の上下をどう考えるのか、は参考になるかと思います。

細かなテクニックや方法論に関する本ではありませんが、親御さんにとって目先ではなく、少し引いた中長期的な視点でどう考えればいいか、子供のメンタルコントロールを含めてどう考えていけばいいか、示唆に富んだ内容であると思います。

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